私が民間さい帯血保管バンクを利用した理由。私が感じたメリット・デメリット

現在、妊娠している方の中には、民間さい帯血保管バンクが提供するサービスを利用しようか、迷っている方もいるのではないでしょうか。私も、実際、利用するか、すっごく迷ったのですが、今は、このサービスを利用してよかったなと感じています。

以下の記事では、民間さい帯血保管バンクが提供するサービスを利用した私の感想と、メリット・デメリットをご説明したいと思います。

さい帯血とは

さい帯血とは、ざっくりと説明すると、へその緒や胎盤を流れる血液のこと。

最近、よく聞くようになったと思いますが、実際、「さい帯血」ってよく分からない、そう感じている方も多いのではないかなと思います。

このため、さい帯血を採取することができるのは、出産時、お母さんの体内から、へその緒や胎盤が排出されるタイミングだけ、つまり一生に一度と言われています。

さい帯血には、血液や体を形作る幹細胞と呼ばれる細胞が、多く含まれているため、白血病等、様々な病気の治療に利用されつつあります。

さい帯血を保管する方法

私たちがさい帯血を保管する方法として、さい帯血バンクを利用することが挙げられます。

さい帯血バンクとは、文字どうり、さい帯血の保管等を行う施設です。さい帯血バンクには、公的さい帯血バンクと、民間さい帯血バンクとがあります。

公的さい帯血バンクとは？

公的さい帯血バンクは、厚生労働大臣より「さい帯血供給事業者」として許可を受けた運営者により運営されています。例えば、日本赤十字社等が、運営を行っています。

公的さい帯血バンクでは、さい帯血の採取、調製、保存を行うとともに、白血病の患者さんが移植を希望した場合には、その患者さんが移植を受ける医療機関へさい帯血を引き渡す業務を行っています。

民間さい帯血バンクとは？

民間さい帯血バンクは、民間の事業者により運営されており、代表的な事業者として、例えば、株式会社ステムセル研究所等があります。

民間さい帯血バンクでも、公的さい帯血バンクと同様、さい帯血の採取、調製、保存を行っています。

公的さい帯血バンクと民間さい帯血バンクとの違い

公的さい帯血バンクでは、さい帯血の提供者が、さい帯血を寄付するという形で保管するため、費用は、無料です。一方で、さい帯血の寄付という形であるため、例えば、提供者がさい帯血を利用したいというタイミングで、さい帯血を利用できない場合もあります。民間さい帯血バンクでは、さい帯血の保管を委託するという形になるため、さい帯血の保管に費用が発生しますが、提供者がさい帯血を利用したいというタイミングで、さい帯血を利用できます。

公的さい帯血バンクでは、さい帯血の適応範囲が予め決められており、具体的には、白血病の治療に利用されています。一方、民間さい帯血バンクでは、白血病だけでなく、自閉症、脳性まひ等の治療への利用が進められています。

	公的さい帯血バンク	民間さい帯血バンク
費用	無料	有料
用途	白血病の治療	白血病の治療 自閉症の治療 脳性まひの治療他

私が民間さい帯血バンクを利用した理由

費用が発生しないという点から、公的さい帯血バンクも検討しました。一方で、治療にさい帯血を利用したいというタイミングで、利用できる、適応範囲の縛りが少ないという点から、最終的に、民間のさい帯血バンクを利用することにしました。

民間さい帯血保管バンクを利用して感じたデメリットとメリット

デメリット

費用が高い

今回のさい帯血保管では、およそ30万円の費用が掛かりました（10年保管）。出産時、分娩費用等、色々なことで出費があるため、正直、30万円の出費は、痛い。。なお、分割での支払いが可能な場合もあります。

自閉症の治療への利用は、まだまだ限定的

現在、さい帯血を利用して自閉症等の治療を行っている医療機関は、まだまだ限定的です。このため、将来的に治療に利用できるかもしれないが、実際に、自分達が利用したい用途での使用が現実的か、どうかは、今の段階では未知数です。

事業者が破綻した場合は、さい帯血を利用できない

民間の事業者がサービスを提供するため、公的バンクと異なり、事業者が破綻した場合には、さい帯血を利用できなくなります。

出産の際、医療機関の協力が必要

出産の際、実際のさい帯血の採取作業をしてくれるのは、分娩に携わる医療関係者（助産師さん、看護師さん等）です。

このため、さい帯血保管サービスに対応している医療機関である必要があることは、もちろんのこと、忙しい現場の担当者さんに負担を掛けるのは、若干、心苦しい部分がありました。私が分娩した病院では、たまに、民間さい帯血バンクの利用希望者がいる程度とのことだったので、内心、忘れられたりしないかなと、若干、気になりました。

また、私が利用したさい帯血保管サービスでは、さい帯血の採取キッドを分娩の際、自分で病院に持っていく必要があるため、急なお産の場合にも、対応できるよう、予め、入院バッグに入れておく等の工夫が必要です。

メリット

自閉症、脳性まひ等の治療に利用できる可能性がある

現在、さい帯血内の幹細胞を利用した自閉症、脳性まひの治療の研究が進められており、将来的に、幅広い病気、疾病等の治療に利用できる可能性があります。

再生医療分野の進歩により、例えば、歯が生える薬といった、今まででは、考えられない治療法が開発されています。このため、将来的に、さい帯血を利用した高度な治療が可能になるといった可能性も十分考えられます。

本人だけでなく家族も治療に利用できる可能性がある

例えば、白血病においては、本人だけでなく、本人の家族の治療に使用できるケースがあるとのことで、家族全体の健康を考えて、保険的な意味合いで、さい帯血を保管しておくメリットがあると思います。

高齢妊婦だった私が民間さい帯血保管バンクを利用した理由

私の場合、高齢出産であったため、障害等への治療が必要になるケースも想定して、民間さい帯血保管バンクを利用して、さい帯血保管をすることを決めました。

正直、治療に利用できないのではないかとも思ったのですが、一生に一度しか採取できないということも考えて、民間さい帯血保管バンクを利用しました。

費用面では、決して安くはないのですが、保険としての安心材料の一つになったので、その点、よかったなと思っています。

まとめ

民間さい帯血保管サービスを利用することのデメリットも、もちろん有るのですが、将来的な治療といった保険の意味合いで、安心材料の一つになったという意味では、すごく良いサービスだと感じました。